社会との関わり – 社会・出版業界への貢献PURSUIT OF HARMONY AND MUTUAL DEVELOPMENT WITH SOCIETY

基本的な考え方

当社は、「本来ならば出会うことのなかった価値同士を媒介し、世の中のさらなる進化発展に貢献し続ける媒体のような存在になりたい」との願いを社名に込めています。当社グループにとって、社会との持続的調和や出版業界との相互発展は事業成長と一体であり、自らの事業活動やサービスは健全な経済社会の形成、そして文化の発展と豊かな社会づくりに貢献するものと考えています。当社は引き続き、時代の流れや変化を見据えた企業活動で事業成長に繋げるとともに、当社独自の強みを生かした社会的価値の創出を図ります。

著作物の健全なる創造サイクルの実現

一般社団法人ABJにおける海賊版対策の推進
当社グループの使命は、良質な著作物が創造され続け、ユーザーが安心して利用できる安全な環境を守るとともに、その流通量を最大化し、著作物がもたらす文化の発展に貢献することにあります。著作物を違法に複製する海賊版の蔓延は、創作や流通に関わる人々を経済的にも精神的にも苦しめ続けており、業界全体の重大な課題となっています。

この海賊版対策に長期かつ持続的に取り組むための組織として、当社や著作権者、出版社、通信事業者などの関係者が一致協力して2020年に設立した「一般社団法人ABJ」は、2023年4月1日現在で90法人が参画しています。

ABJは多くの作家や参加法人各社の協力を得て展開する「STOP!海賊版」キャンペーン、正規のサービスであることを示す「ABJマーク」の付与活動などを通じ、ユーザーリテラシーの向上と被害根絶に尽力しています。2023年7月31日現在、電子書店・電子書籍配信サービスに付与されたABJマークは約900件に達しました。2023年3月には、人気アーティストVaundy氏や出版社各社との連携で展開したSTOP!海賊版キャンペーン「ありがとう、君の漫画愛。」が話題となり、公開された動画はSNSで累計1,000万回以上再生されています。

こうした活動の結果、アクセス数上位の海賊版10サイトで見ると、2022年1月のピーク時からアクセス数が半減し、2023年6月には大手漫画海賊版サイトが閉鎖に追い込まれるなど、対策が一部で実を結んでいます。しかし依然として全体のアクセス数は多い状況が続いており、ABJは今後も海賊版の根本原因に切り込むべくユーザーへのアンケート調査を実施するなど、海賊版根絶に向けた活動に取り組み、著作者が安心して創作活動を持続できる環境の実現を目指します。

引用:STOP!海賊版キャンペーン「ありがとう、君の漫画愛。」
特設サイト:https://www.abj.or.jp/arigato

Web技術標準の国際団体「W3C」への参画
電子書籍ファイルフォーマットの国際標準「EPUB」は、Web技術の標準化を推進する国際団体「W3C(World Wide Web Consortium)」が規格を定めています。当社は技術の発展によるコンテンツ業界への影響や対応、活用策の議論へ積極的に関与すべく、2018年、W3Cに加盟しました。W3C傘下のPublishing Business Groupでは、アジア枠の共同議長を当社海外子会社Media Do International, Inc.の代表取締役 塩濵 大平が務めています。2020年には、塩濵が各国各分野のスペシャリストで構成するW3C公式エヴァンジェリストに日本人として初めて就任し、日本国内の出版業界各社へW3C参加を呼びかけています。

2023年5月25日、「EPUB 3.3」がW3C勧告となり、新たな国際標準とされました。EPUB 3.3は最新仕様であると同時に下位互換性を担保します。これにより国内及び世界の電子書籍ファイル流通を促進するほか、新たに取り入れられた「EPUB Accessibility1.1」により、世界的な社会基盤として求められるアクセシビリティにも対応します。

Web技術など社会に影響を与える技術全般の進歩が加速し、コンテンツ業界を取り巻く環境は刻々と変化しています。当社グループは引き続きEPUBの規格に関する議論へ参画するほか、出版及び全てのメディア環境の将来に関する情報を広く国内・世界の出版・メディア業界と継続的に共有します。次世代の出版における新技術のユースケースについても協議を進め、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」届ける社会の実現に貢献していきます。

読書バリアフリーを支援する「アクセシブルライブラリー」の推進
障害の有無にかかわらず誰もが読書できる社会を目指す「読書バリアフリー法」が2019年6月に施行され、第3条では、視覚障害者などが利用しやすいアクセシブルな書籍・電子書籍の量的拡充・質の向上を自治体などに求めています。当社は全ての人々が手軽に本にアクセスできる環境の実現に寄与し、一層の文化の発展に貢献するため、自治体における読書バリアフリーの取り組みを支援するツールとして、2022年6月、電子書籍ファイル自動読み上げ技術を活用した視覚障害者専用電子図書館「アクセシブルライブラリー」のサービスを開始しました。

本サービスは自治体の多様な課題解決に広く活用していた アクセシブルライブラリー利用者様の声だけるよう、人口規模に応じた定額負担により安価に導入可能な仕組みで提供しています。出版社が製作する「リフロー型 *1 」の電子書籍ファイル(EPUB)を活用し、利用者は冊数の制限なく、聞き取りやすい自動読み上げ音声で作品を楽しむことができます。

国内で約30万人と推計される視覚障害者のうち、日常的な情報収集の手段として点字を使う人は全体の約10%とされています *2 。公共図書館が提供する視覚障害者向けの図書は点字翻訳や音声朗読によるものが多く、ボランティアの尽力により制作されているため、多くの利用者が見込まれる人気図書の翻訳・朗読を優先せざるを得ず、多様なジャンルで提供数を拡大していくには限界があります。そこで当社は、過去の作品、そしてこれから生み出される多様な出版物を、一層継続的かつ効率的に提供する仕組みとして、アクセシブルライブラリーの開発に着手しました。

2022年10月にはデジタル庁の「good digital award」で「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現する取り組みとしてグランプリに選ばれたほか、2022年12月には日本の電子出版の普及と技術向上を目的に一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)が主催する「第16回 電子出版アワード2022」で大賞を受賞しました。

2023年6月末時点で出版社13社の協力を得て16,000点以上の作品を配信しており、全国計90市区町村の自治体や公共図書館で導入され、各地域で視覚障害のある方々に広く利用を呼びかけています。

*1 リフロー型EPUB:テキストやレイアウトを流動的に表示する電子書籍ファイル
*2 出典:厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(2016年)

アクセシブルライブラリー利用者様の声

長野県 坂城町立図書館 館長
鈴木 康之 様(2023年5月導入)

長野県は山が多く全国有数の広大な面積を有しており、図書館が遠かったり、まだ図書館がなかったりする町や村があります。そこに2019年の台風による水害や2020年以降のコロナ禍が襲い掛かり、「図書館に行かなければ本が借りられない」という課題の解決が強く求められることとなりました。そこで2022年8月5日に誕生したのが「市町村と県による協働電子図書館」(愛称:「デジとしょ信州」)です。

「デジとしょ信州」は、プラットフォームを県が維持し、電子書籍(コンテンツ)を長野県の77全ての市町村で分担購入する、新しい仕組みの電子図書館です。「デジとしょ信州」のスタートによって、地形的な課題を乗り越え、長野県民は、だれでも、いつでも、どこからでも、無料で本(電子書籍)が読めるようになりました。

この「だれでも」をさらに推進してくれるのが「アクセシブルライブラリー」です。導入にあたって、視覚障害者の読書環境をより良くするために、今できることは何か、市町村と県による運営委員会で話し合ったことが読書バリアフリー化の第一歩となりました。これからも、誰一人取り残さない長野県の情報サービスを実現していきます。

地域社会への貢献

地方創生に貢献する起業家・経営者の支援

労働人口減少や超高齢社会が深刻化する中、「活力ある日本社会」を次世代へ受け継ぐため、当社は地方経済の発展を支える起業家・経営者の支援に取り組んでいます。
大都市に情報や生産力が集中し、地方では情報格差や人口流出の拡大が課題となっています。この課題解決に向け、当社は創業社長藤田の出身地・徳島県において、地元企業4社と共同で「一般社団法人徳島イノベーションベース(TIB)」を2020年に設立し、地方で活躍する起業家・経営者が経営視座を一層高め、安心安全な環境で成長するための支援活動を主導しています。

会員らが一堂に会した徳島イノベーションベース年次総会(2023年5月)

TIBは年商1億円を超える世界76カ国の起業家18,000名以上が参画する「EntrepreneursʼOrganization(起業家機構)」やメディア、金融機関、大学、自治体との連携のもと、地方経済の発展を支える有力な経営者を数多く輩出することを目指して、会員270名以上(2023年6月時点)に対し、経営者同士が対等な関係性を構築して学び支え合うプログラムや多様な学習機会を提供しています。

他の企業もこれに呼応し、2023年7月現在、18府県(設置予定を含め計31道府県)に同様の「イノベーションベース(IB)」の取り組みが広がっています。2023年1月には全国のIBを繋ぎ支援の輪を広げるため、当社を含む各府県でIBを主導する企業6社が「一般社団法人xIB JAPAN」を設立しました。当社は全国各地域を跨いだ地方の起業家・経営者のネットワークを構築し、活発な情報や人の流れを地方にもたらすことで、日本の経済基盤を強固にする新産業が全国各地で創出されることを目指しています。

地域経済の発展に寄与するプロバスケットボールクラブの運営

当社グループは、プロスポーツ振興により、地域の経済・文化の発展をはじめとする地域のエンパワーメントを促進し、豊かな社会づくりに寄与するべく、当社を含む徳島県にゆかりのある23社の企業との共同出資により、男子プロバスケットボール「Bリーグ」への徳島県下初の参入を目指す「株式会社がんばろう徳島」を2022年4月に設立しました。

がんばろう徳島は株主を含む各企業・団体や行政などと密に連携しながら、男子バスケットボールクラブ「徳島ガンバロウズ」の運営に取り組んでいます。2023年7月には下部リーグである「B3リーグ」2023-24シーズンに参入し、徳島県徳島市で10月、シーズン開幕戦を迎えます。

徳島ガンバロウズは多数の観客や関係者の動員が見込まれる公式試合の実施、合宿誘致などによるスポーツツーリズムの活性化を通じた徳島県の地域経済への貢献に取り組みます。また、地域の人々がスポーツを通じてコミュニケーションを深める場の創出、文化や教育への貢献を目指します。