社会との関わり – 社会・出版業界への貢献PURSUIT OF HARMONY AND MUTUAL DEVELOPMENT WITH SOCIETY

基本的な考え方

当社は、「本来ならば出会うことのなかった価値同士を媒介し、世の中のさらなる進化発展に貢献し続ける媒体のような存在になりたい」との願いを社名に込めています。当社グループにとって、社会との持続的調和や出版業界との相互発展は事業成長と一体であり、自らの事業活動やサービスは健全な経済社会の形成、そして文化の発展と豊かな社会づくりに貢献するものと考えています。当社は引き続き、時代の流れや変化を見据えた企業活動で事業成長に繋げるとともに、当社独自の強みを生かした社会的価値の創出を図ります。

著作物の健全なる創造サイクルの実現

一般社団法人ABJにおける海賊版対策の推進
当社の使命は、良質なコンテンツが継続的に創造され、ユーザーが安全な環境で安心してコンテンツを利用できる環境を守り、その流通量を最大化することにあります。違法に複製された著作物の蔓延は、コンテンツの創造や流通に関わる人々を経済的にも精神的にも苦しめ続けており、業界全体の重大な課題となっています。

海賊版対策に長期間持続的に取り組むためには恒常的な組織の構築が必要との認識から、当社や著作者団体、出版社、通信事業者などの関係者が一致協力し「一般社団法人ABJ」を設立しました。2022年7月末現在で78法人が参画しており、海賊版対策の中核機能としての役割を強化しています。

海賊版被害は依然深刻ですが、引き続き作家やABJメンバーの協力を得て展開する「STOP!海賊版」キャンペーン、正規のサービスであることを示す「ABJマーク」の付与活動などを展開し、ユーザーリテラシーの向上と被害根絶に尽力しています。こうした活動の結果、足元では海外の海賊版大手2サイトが閉鎖され、アクセス数も全盛期から約半減するなど、対策が一部で実を結び始めています。今後も当社はABJを強力に支援し、フィルタリング事業者、セキュリティ事業者などへの情報提供により海賊版サイトからユーザーを保護します。さらに出版・通信業界や関係省庁との連携による、海外を拠点とした海賊版サイトへの対処、ユーザーへの啓発活動などにも全面的に協力し、著作者が安心して創作活動を持続できる環境の実現を目指します。

Web技術標準の国際団体「W3C」への参画
電子書籍ファイルフォーマットの国際標準として利用される「EPUB」は、Web技術標準国際団体「W3C(World Wide WebConsortium)」が規格を定めています。 当社は2018年12月にW3Cへ加盟し、傘下のPublishing Business Groupでアジア枠の共同議長を当社海外子会社Media Do International, Inc.の代表取締役 塩濵 大平が務めています。 2020年には、塩濵が各国の各分野のスペシャリスト約20人で構成するW3C公式エヴァンジェリストに、日本人で初めて就任しました。 国際標準規格は電子出版の創作や流通に大きな影響を与えるものであり、当社グループはW3Cで未来の出版に関する情報を相互共有し、国際標準規格への提言を続けるとともに、広く日本出版業界へW3C加盟を呼びかけています。

著作物へのアクセスを保障する電子図書館の拡大
電子図書館サービス「OverDrive」は、各自治体や学校が運営する図書館の一ツールとして導入することで、利用者はオンライン上でどこでも手軽に本を借りることが可能となります。様々なジャンル・言語の電子書籍を取り扱っており、英語のナレーション付き電子書籍なども含みます。

2021年には、当社が資本業務提携を結んだ紙出版取次大手(株)トーハンが持つ全国各地の営業拠点及びトーハンを通じたリアル書店との連携がさらなる導入促進にも繋がっており、対前年比で約2倍の伸び率となっています。また2022年6月より、自社開発による視覚障がい者向け電子書籍読み放題サービス「アクセシブルライブラリー」の提供を開始しました。本サービスによって、国内に約30万人*と推計される視覚障がい者に対し、出版物を、継続的かつ効率的に提供することが可能となります。

2019年に施行された読書バリアフリー法は、障がいの有無にかかわらず全ての国民が文字・活字文化の恩恵を享受できる社会の実現に寄与することを目的としています。当社グループにおいてもこうした事業やソリューションの提供を通じて「文化の発展」に寄与していくことが、当社ならではの社会価値提供のあり方の一つと捉えています。また、自治体や学校にこれらの利活用を促すことで、読書体験そのもののDXを進め、多くの人に読書の楽しさを届けるとともに、教育・学習機会の幅を広げ、日本のみならずグローバルに活躍できる人材育成を支援するツールとしても役立てられるよう取り組んでいきます。

* 厚生労働省「平成26年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(2016年)

地域社会への貢献

地方創生に向けた起業家輩出の支援

労働人口減少や超高齢社会が深刻化する中、「活力ある日本社会」を次世代へ受け継ぐため、当社は地方創生活動に尽力しています。大都市に情報や生産力が集中し、地方では情報格差や人口流出の拡大が課題です。当社はこの解決の一助となるべく、創業社長藤田の出身地・徳島県において、地元企業4社と共同で地方の起業家を支援する「一般社団法人徳島イノベーションベース(TIB)」を2022年に設立し、活動を主導しています。

TIBは年商1億円を超える世界の起業家約15,000名が参画する「Entrepreneurs’ Organization(起業家機構)」や大学、自治体と連携しており、有益な学習機会、経営者同士が支え合う関係を育むプログラムを提供し、地方から有力な起業家を数多く輩出することを目指しています。他の企業もこれに呼応し、2022年7月現在、設置予定も含めて計30道府県に同様の取り組みが広がっています。当社はこれを全国に広げ、活発な情報や人の流れを地方にもたらし、日本の経済基盤を強固にする新産業が全国各地で創出されることを目指します。