こんにちは。メディカム編集部 経営企画チームです。
メディアドゥは2026年4月1日、設立30周年を迎えました。
携帯電話販売代理店として創業し、着うた配信・音楽配信を経て、現在は電子書籍取次として出版社2,200社以上と電子書店150店以上をつなぐ存在へと成長。さらにこれまで培った信頼関係を生かしながら、日本のコンテンツを世界へ届ける「海外事業」や、地域社会の課題や可能性に向き合い、価値を最大化する「SC(Sustainability Creation)事業」にも取り組んでいます。
この大きな節目を機に、5月19日(火)、東京・帝国ホテルで「株式会社メディアドゥ 設立30周年記念 感謝の会」を開催。出版業界をはじめとするお取引先の皆さま、元社員を含むさまざまなステークホルダーの皆さまをお招きし、約600名のご来場をいただきました。お越しいただいた皆さまに重ねて感謝を申し上げます。
|
<当日の流れ> ・来賓ご挨拶(徳島県知事 後藤田 正純 様) ・代表挨拶・プレゼンテーション(藤田) ・乾杯ご挨拶(徳島新聞社相談役 米田 豊彦 様) ・歓談(弦楽カルテット) ・閉会挨拶(役員陣が登壇し、藤田が挨拶) |
なぜ私たちはこの「感謝の会」を開いたのか。30年間ずっと大切にしてきたものは何か。そして、これからの30年に何を引き継いでいくのか。
代表取締役社長CEO 藤田恭嗣が、当日のスピーチと、合わせて編んだ30周史のなかで語った言葉から、メディアドゥの現在地と未来をお伝えします。
この30年を、どう受け止めているか
午後4時、会場の照明が落ち、スクリーンには徳島・木頭の渓流、阿波踊りの中で母に抱かれる子どもたち、創業期の若き仲間たち、東京・パレスサイドビルのオフィス——30年の時間を一本の線で結ぶ約7分の映像が流れました。
映像のなかで役員や社員たちの声が重なります。
「メディアドゥがどんな事業をやっても、その根幹は、故郷や家族、地域社会、出版業界も含めた、取り巻く人々すべて。メディアドゥの愛、感謝は、これからもきっと変わらない」
その後、藤田が登壇し、30年を振り返るスピーチを始めました。
「30年の歩みを支えてくださった、出版業界をはじめとするすべてのお取引先の皆さま、株主の皆さまなど、ステークホルダーの皆さま。現場で誠実に業務に向き合い、会社を支え続けてくれた社員、そしてそのご家族。そうした皆さまの信頼と支えにより、メディアドゥは30年という節目を迎えることができました」
会場では、出版社、電子書店、株主、社員、徳島、木頭の方々——これまで支えてくださった一人ひとりのお名前を呼びながら、感謝の言葉を伝えていきました。30年の歩みは、一つひとつの出会いの積み重ねでできていることが、その時間のなかで皆さまにも伝わったのではないかと思います。
経営者として歩んできた時間を、藤田はこう振り返ります。
「起業した学生時代から数えれば、私は32年間、経営に向き合ってきました。大学3年、20歳のとき、一人暮らしの部屋に電話回線を引いて始めた携帯電話販売事業。その後、広告代理事業、着うた配信事業、そして電子書籍流通事業へと、時代の変化に応じて業態を変えてきました。
メディアドゥを経営してきた私は、この30年をどう総括し、どう表現するのかを時間をかけて考えてきました。それは、支えてくださった皆さまとの出会いを振り返る時間であると同時に、自分自身と向き合う時間でもありました。
今の自分を省みたとき、『あなたに会えてよかった』と常に思える人間でありたい。そうでないと、周囲の方々から同じように感じていただくことはできません。それができれば私が最も大切にするメディアドゥもまた、『会ってよかった』『取引をしてよかった』と思っていただけると信じています。
そして一つの答えにたどり着きました。『この30年は、次の30年のためにある』ということです」
過去・現在・未来をひとつの線でつなぐこの姿勢が、感謝の会の全体を貫く軸になりました。
メディアドゥの30年は、決して平坦な歩みではありませんでした。携帯電話販売からIT事業に参入後に資金難に陥るも、藤田が自ら先鋒に立って着うた配信事業を軌道に乗せたこと。2006年に電子書籍事業に参入し、それまでの着うた配信事業から、業界全体の構造そのものに向き合う事業へと舵を切ったこと。2013年に東証マザーズへの上場を果たし、2017年には電子書籍取次で当時国内No.1シェアであった出版デジタル機構を子会社化したこと。出版業界における当社のポジションは、ここから一気に広がりました。2016年には長年の念願が叶って東京都千代田区・パレスサイドビルへ本社を移転し、出版社・電子書店との関係を一段と密にする体制を整えています。
資金難に陥ったときも、事業の形を時代の変化に合わせて変えてきたなかでも、常に変わらなかったのは「人を大切にする」姿勢でした。
30年大切にしてきた、5つの要素
会場に掲げられた30周年のキービジュアルには、5つの円と「Media Do 30TH」、そして「Do with love.」の文字が並んでいます。
このビジュアルをデザインしたのは、クリエイティブディレクターの鵜野澤啓祐氏。メディアドゥの企業ロゴをはじめ、「未来コンビニ」など、藤田が手がけるさまざまなプロジェクトで長年にわたって共に進めてきたパートナーです。藤田はこう語ります。
「企業ロゴを俯瞰した姿である5つの円は、これまで5つのラインで構成されるものをデザインしてきた鵜野澤氏が、それを上から見た円として表現してくれたものでした。私はこのデザインを目にしたとき、この30年で大切にしてきたものを、5つの要素として語ることができるのではないかと感じました。
『空間』『時間』『人』『故郷』『愛』——この5つです」
ビジュアルの背景には、藤田の故郷・徳島県旧木頭村の春夏秋冬と柚子の5つの景色が重ねられています。そして「Do with love.」のフレーズは、5つの要素の根幹に流れる「愛」を、これからのメディアドゥの行動原理として掲げたものです。
この5つの要素は、当社の30周年史全体を構成する軸にもなっています。なぜ、この5つだったのか——藤田はこう続けます。
「企業は続くことがすべてです。メディアドゥも、長く社会に必要とされる企業でありたい。そのためには、過去と未来を結節する現在のあり方が問われます。
30周年を迎えた今、これからの未来をつくるために、過去を正しく知ることが必要です。過去を知り、未来を設計し、その責任を今、果たす。その一点に、この30周年の意味があると考えています」
故郷・木頭という原点
5つの要素のひとつ「故郷」について、藤田は強い思いを語ります。
故郷は、徳島県那賀町木頭——人口およそ900人、徳島県の南西部に位置する山あいの集落です。藤田はこう振り返ります。
「毎年秋になると、私の故郷である徳島県旧木頭村で収穫した木頭柚子を、会社設立以来30年間、欠かさずお世話になった方々へお送りしてきました。段ボールに詰めた柚子には、毎回必ず手紙を添えています。手紙ではその年の柚子の状況や、柚子を作った父のこと、家族のこと、現在の私の仕事などの活動について書いています。そうすることで、私が大切にしてきた故郷や家族、そして柚子のことを多くの人に知っていただくことができました。
同時にそれを通じて、私のメディアドゥに対する思いも感じ取っていただけたのではないかと思っています。その証のように、毎回、たくさんのお手紙を頂戴しています。こうして多くの方々に支えられてメディアドゥはこの30年間を歩んできました」
藤田にとっての木頭は、自分が育った場所であると同時に、家族と過ごした原点であり、人と人の関係を紡ぐ作法を学んだ場所でもあります。
そして今、木頭では藤田によって、新しい里親制度を支える公益社団法人「未来への箱」プロジェクトが立ち上がろうとしています。その活動拠点となる「NISHIU de repos(ニシウ ド ルポ)」は、樹齢100年以上の木頭杉で組まれた100年建築。木頭・西宇に住まう人々の”心に建てた”建物として、次の100年を見据えています。
故郷で受けた恩を、未来の社会への投資として返していく。藤田個人の30年来の思いは、メディアドゥという組織の事業で注力する①国内の電子書籍流通事業、②海外展開、③SC(Sustainability Creation)事業の3つにも明確に組み込まれています。
地域社会と挑む、SC事業の現在
故郷への思いは、メディアドゥが2025年4月に「事業」として明確に定義した「SC(Sustainability Creation)事業」へとつながっています。地域社会の課題や可能性に向き合い、その価値を最大化することを目指す事業領域です。
2020年に設立した一般社団法人「徳島イノベーションベース(TIB)」を皮切りに、地域の経営者をつなぐ取り組みを始めました。2023年には、その実績をもとに、現在全国20府県に拡大しているIBを支援する一般社団法人「xIB JAPAN」を立ち上げています。
同じく2023年には、徳島県初のプロバスケットボールクラブ「徳島ガンバロウズ」が誕生。地域ゆかりの企業22社との出資で立ち上げた運営会社(メディアドゥ子会社・(株)がんばろう徳島)によって、スポーツを通じて地域に活力を生み出す挑戦が続いています。
特定の地域から始まった取り組みが、やがてその地域に新しい活力を生み、その仕組みが日本社会全体に広がっていく。当社が考える地方創生のかたちは、ひとつの場所への眼差しを起点としていながら、社会全体を見据えています。
日本コンテンツと世界をつなぐ架け橋
SC事業のみならず、当社が次の30年に向けて加速させているのが「海外事業」です。
2026年3月、当社は北米の出版社Seven Seas Entertainmentをグループ化しました。同社は英語圏で最大の独立系マンガ出版社のひとつで、これまで20年以上にわたって日本のマンガやライトノベルを北米の読者に届けてきた、私たちと同じ志を持つパートナーです。
当社の海外事業会社Media Do International, Inc.(MD-i)とSeven Seasが連携することで、日本のコンテンツが世界の読者へ届くまでの架け橋を、より太くしていく体制が整いました。
2026年3月に開いた海外出版事業説明会で、藤田はこう語っています。
「今後、海外に対して、日本の作品をどれだけ出していけるかという点が、メディアドゥの次の大きな目標になってくる」
3月の説明会では、メディアドゥ、Media Do International, Inc.、Seven Seas Entertainmentの3社の代表が並び、「日本コンテンツと世界を繋ぐ架け橋(A Bridge Between Japanese Stories and Global Readers)」というコンセプトを掲げました。日本のコンテンツへの愛と、それを世界の読者に届けたいという思い——その共通の志を持つ仲間が、いま当社の海外事業の前線にいます。
▼2026年03月31日掲載「日本の本を世界へ届けるために──Seven Seasのグループ参画、海外展開への不退転の覚悟」
https://mediado.jp/medicome/challenge/15992/
出版業界の皆さまとともに30年かけて積み上げてきた信頼関係を礎に、日本のコンテンツを次の100年の読者へつないでいく挑戦が、すでに始まっています。
歓談中に流れた、人と人のつながり
プレゼンテーションのあとには、歓談の時間が訪れました。
出版業界の皆さま、長年お世話になっている取引先の方々、徳島、木頭からお越しの皆さま、社員、そして藤田の家族——会場のあちこちで、参列者同士が自然と再会を喜び合い、笑い声が絶えませんでした。当社が何かを発信する場というよりも、30年かけて築かれてきた人と人のつながりが、会場全体に流れていく時間でした。
事業や規模ではなく、人と人の信頼の積み重ね。それが、30年かけてメディアドゥが手にしてきた、最も大切な財産です。
会の最後には、藤田をはじめとした役員・社員が会場の入口に並び、お帰りになる皆さまを一人ひとりお見送りしました。直接ご挨拶を交わし、改めて感謝の気持ちをお伝えする時間です。30年の歩みは、まさにこうした一つひとつの瞬間の積み重ねでできていることが、最後まで会場全体に流れていました。
良き祖先となるために
藤田が閉会を前に語ったのは、メディアドゥの未来への覚悟でした。
「30年は通過点に過ぎません。次の30年、そして100年と、世代を超えて続く企業とは何か。私は、今、働く人たちが自分のことだけを考えるのではなく、自らがいなくなった後、バトンを受け継ぐ次の世代のことまで見据えて働く組織であると考えています。
メディアドゥの存在によって恩恵を受ける未来の人々が、『あのときメディアドゥで働いていた人たちがいてよかった』と思ってくださる。そのような行動を、今、実践することが重要です。
こうした長い時間軸を意識するとき、求められるのは目の前の利益だけを追う姿勢ではありません。未来に対して覚悟を持ち、自らの行動の意味を問い続けることです。私は、その根底を成すものが人と接するときの『愛』であると考えています」
そして、自分自身の経営哲学を象徴するひとつのフレーズに行き着いたと語ります。
BECOME A GOOD ANCESTOR——自分がいない100年後のための、良き祖先になれるか。
長い時間軸を意識する姿勢は、当社の「空間」のあり方にも貫かれています。2016年に本社を移したパレスサイドビルは、持続可能性を追求し、150年設計で建てられたサステナブル建築。そして木頭の地にあるNISHIU de reposは、藤田によりパレスサイドビルの設計思想を取り入れ、樹齢100年の木頭杉で組まれた100年建築。東京と徳島、2つの拠点にまで、長い時間軸を意識する姿勢が貫かれています。
150年や100年という時間軸で建物を建てるとき、私たちが本当に向き合っているのは、まだ会ったことのない未来の人々です。次の世代、その次の世代——いつかこの建物のなかで仕事をする誰かに、「あのときメディアドゥで働いていた人たちがいてよかった」と思ってもらえる仕事をしているだろうか。そう問い続けることが、良き祖先となる第一歩となるはずです。
おわりに
藤田は、30周年への感謝のメッセージをこう結びました。
「30年の感謝を胸に、次の30年へ。これまで支えてくださった皆さまの信頼があったからこそ、今、私たちは未来を語ることができます。この30年の歩みは、私たちだけの歴史ではなく、ともに関わってくださった皆さま一人ひとりの時間の積み重ねでもあります。
私はその問いと覚悟を胸に、今日の一つひとつの判断を積み重ねていきます。そして皆さまとともに良き祖先となることで、後世により良い社会を残していきたいと思います」
私たちがお伝えしたかったのは、過去30年への感謝と、次の30年への覚悟です。
Do with love.——5つの要素を貫く愛を持ちながら、時間や空間と向き合い、人や故郷を大切にする。私たちメディアドゥは、これからも一つひとつの出会いを大切にしながら、世代を超えて続く企業を目指して挑戦を重ねていきます。
▼メディアドゥ30年史
PDF(19.6MB)