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B.LEAGUEが目指す「感動立国」と、メディアドゥの“将来像の交点”-B.LEAGUEチェアマン島田慎二氏×サイボウズ社長青野慶久氏×メディアドゥ藤田-

こんにちは。メディカム編集部 経営企画チームです。

2026年1月16日(金)、出島メッセ長崎にて開催された「B.LEAGUE 感動立国Bizカンファレンス」に、メディアドゥ代表取締役社長 CEO 藤田恭嗣がパネリストとして登壇しました。

藤田は2025年9月にB.LEAGUE理事へ就任。徳島初のプロバスケットボールクラブとして2023年に発足した「徳島ガンバロウズ」のオーナー、そしてB.LEAGUE理事として、B.LEAGUE主催イベントで自身の考えを語る初の機会となりました。

登壇したセッションのテーマは「B.LEAGUEが地域にもたらす価値」。スポーツを起点とした地方創生や産業連携の可能性について、経営者の視点から掘り下げる場として企画されたものです。

本記事では、藤田が登壇したセッション「B.LEAGUE クラブが地域にもたらす価値 ― 経済価値と社会価値の循環 ―」における議論の模様を通じて、B.LEAGUEが掲げる「感動立国」のビジョンとメディアドゥのSC事業(Sustainability Creation)の接点を探ります。


B.LEAGUEが掲げる「感動立国」というビジョン

セッションのモデレーターはB.LEAGUEチェアマンの島田慎二氏。パネリストとして、サイボウズ株式会社代表取締役社長で2025年から「愛媛オレンジバイキングス」のオーナーとなった青野慶久氏(愛媛県出身)と、メディアドゥ藤田が登壇しました。 
※サイボウズによる発表「サイボウズ、プロバスケットボールチーム 「愛媛オレンジバイキングス」の運営に参画」(https://topics.cybozu.co.jp/news/2025/06/25-19131.html

島田チェアマンは冒頭、両名を「クラブオーナーでありながら、自ら起業し上場も果たしている経営者」と紹介。経営者ならではの視点でB.LEAGUEやクラブ運営をどう捉えているのか、深掘りしていきたいとセッションの狙いを述べました。

B.LEAGUEは2026-27シーズンから「B.革新」として新たなリーグ構造への移行を予定しており、「地方創生」を重要な柱のひとつに掲げています。大都市圏に集中するのではなく、全国各地にクラブが存在し、それぞれの地域と深く結びつきながら成長していく。島田チェアマンが繰り返し語る「感動立国」というビジョンの根底には、「地方創生リーグを目指す」と宣言するほど、スポーツを通じて地域社会を活性化させるのだという明確な意志があります。

メディアドゥがB.LEAGUEに惹かれた理由も、まさにここにありました。

「B.LEAGUEが掲げるビジョン『感動立国』ももちろんですが、私が最も惹かれたのはB.LEAGUEが『地方創生リーグ』であるという点です。地方創生といえば、私以上に取り組んできた人間はなかなかいないのではないか。そんな思いで参戦させていただきました」(藤田)


メディアドゥが歩んできた地方創生

この言葉の背景には、メディアドゥが10年以上にわたって取り組んできた地方創生の生きた実績があります。

藤田の出身地は徳島県旧木頭村。2013年に東証マザーズ(現グロース)へ上場したことを機に、徳島での地方創生に本格的に取り組み始めました。個人としては出身・旧木頭村での事業立ち上げに始まり、メディアドゥとしては2007年にメディアドゥ木頭支所、2017年には徳島市内に「メディアドゥテック徳島」を設立し、電子書籍流通事業の一部を移管。現在約100名の雇用を創出しています。

そして2020年、メディアドゥは「徳島イノベーションベース(TIB)」を立ち上げます。地方で起業家を育てるこの取り組みの特徴は、地域の課題が集まる主要機関である行政、メディア、金融機関という三つの主体と連携している点にあります。約6年間でTIBから新たに起業・会社が生まれた数は28社、そしてこの主要機関との連携による座組を「徳島モデル」として全国に立ち上げられたイノベーションベースはTIBを含め18府県にのぼり、2026年度中には25府県へと広がる予定です。起業家支援という地域を盛り上げる仕組みを構築した私たちが、次に着目したのがスポーツでした。

「雇用をつくる、拠点を置くといった直接的な地方創生だけでは、地域全体を盛り上げるという側面で見ると長期的に持続する本質的な仕組みではないということを痛感しました。そこで地域が一体となって、地域全体で起業家を生み育てていく取り組みを始めた。さらにより多くのみなさまをこの熱量に巻き込み、盛り上げていくことを考えたときに、スポーツ事業という選択肢が見えてきました」(藤田)

2025年4月、メディアドゥはこうした地域社会の可能性を再発見し、持続的な成長に資する事業を「SC事業(Sustainability Creation)」と定義しました。徳島ガンバロウズやTIBは、その中核を担う取り組みです。


なぜバスケットボールだったのか

なぜスポーツの中でもプロバスケットボールを選んだのか。その理由について、青野氏はリーグの構造的な特徴を挙げました。

「たとえば、プロ野球は日本で一番人気があるすばらしいコンテンツですが、大都市を中心に12球団あり、新しく参入することは非常に難しい。しかし、B.LEAGUEは『1県に1つのクラブを持つ』という明確な方針があり、全都道府県が対等に参入できる。そして野球やサッカーと比べてチームに必要な選手も13人と少なく、地方でも経営を成り立たせることができるのではないかと考えました」(青野氏)

サイボウズが掲げるパーパスは「チームワークあふれる社会を創る」。その理念のもとで法人向けのサービスを展開してきた中で、「企業単位にとどまらず、街ごとチームワークを高められないか」と考えていたところに、経営と競技成績の両面で伸び悩んでいた愛媛オレンジバイキングスを「支援してほしい」と話が舞い込んできたといいます。

当初は「BtoBの会社なので」と断るつもりだったそうですが、同社の人事担当役員がB.LEAGUE理事を長年務めており、くわしく話を聞いてみることにしたと青野氏は語ります。

「色々聞いてみたら、面白い。B.LEAGUEは大人気で、若い女性ファンも多く熱狂している。これはもしかしたら『チームワークあふれるまちづくり』に役立つのではないか、とひらめいたんです」(青野氏)

サイボウズは2025年6月にバイキングスを子会社化し、チームの補強に着手。B2西地区で昨シーズンは最下位でしたが、今シーズンは7チーム中2位(2026年1月末時点)と大躍進を遂げています。

「ブザービーターなどの劇的な逆転勝ちも起きて、地域の観客のみなさまが熱狂し、また来たいと思ってくださる。前シーズンより多くの方に来ていただけるようになり、バイキングスが街の中心になるような今後の活動に期待をしていただけている。いい循環ができ始めています」(青野氏)


「地域の巻き込み」が生み出している価値

青野氏の話す「チームワークあふれるまちづくり」を踏まえ、藤田は徳島ガンバロウズについて、メディアドゥ単独による運営ではなく、地域を巻き込む形にこだわった理由を語りました。徳島ガンバロウズの運営会社「株式会社がんばろう徳島」は、メディアドゥがメインオーナーとなりながら、日本を代表するグローバル企業である四国化工機、大塚製薬、日亜化学工業や、徳島のメディア2社である徳島新聞社、四国放送、そして徳島の地銀である阿波銀行、徳島大正銀行など、徳島ゆかりの計23社が参画する形で発足しています。

「上場企業単体でクラブを立ち上げることはそれほど難しくありません。しかし、私たちがやるべきことは地域を盛り上げ、地域が自ら盛り上がっていく世界を作ることです。それを10年以上続けてきましたので、地域のみなさまを当事者として巻き込む必要があると考えました」(藤田)

地域を巻き込むには、まずトップが汗をかく──そんな藤田の覚悟は行動にも表れています。

「誰よりも応援しているという姿勢を示すべきだと考えていますので、ホーム戦には全試合足を運んでいます。最前列に座り、いち早く声をかけて盛り上げる。アウェー戦も半数程度は現地で観戦しています」(藤田)

この「巻き込み」には、TIBの座組で築いてきたメディア・金融機関との協力関係が活きています。徳島新聞社は、3シーズンを通じて2日に1回以上のペースで徳島ガンバロウズに関する記事を掲載いただいているほか、四国放送も毎週のようにテレビで取り上げてくださり、結果として観客層にも特徴的な傾向が生まれています。

「新聞やテレビをよく見る年配の方がお孫さんを連れて来場されます。B.LEAGUE全体の平均では40~49歳の割合が最も多いのですが、徳島は50歳以上と19歳以下の比率が非常に高く、ファミリーで訪れるファンが多いことが特徴です。 さらに、観客に占める女性の割合もB.LEAGUE全体より1割近く多い。女性の皆様にも安心して来場いただける場所として定着しているのです。そうした背景からアットホームな雰囲気が生まれ、家族や地域の人々の共通言語になる。その証左として、シーズン中のリピート率も85%に達しています」(藤田)

チーム成績も着実に向上しています。参入初年度は18クラブ中4位、2年目は主要メンバーの相次ぐ怪我に泣き9位と苦しんだものの、3年目の今季は昨年11月23日~今年1月18日でクラブ過去最多の11連勝を記録し、現在単独首位を走っています。経営面でも2年目から黒字化を達成し、「B.革新」によるリーグ構造変更を伴う来季からは「B.LEAGUE ONE」(従来のB2に相当)への参入が決まっています。

セッションの中では、スポーツが地域にもたらす価値の定量化についても触れられ、具体的な地域への経済効果などの大きさが示されました。

「2025年11月、人口約6,200人、高齢化率50%以上の那賀町で2試合のホームゲームを開催しました。その“価値”をEYストラテジー・アンド・コンサルティングに調査いただいた結果、たった2日間でもたらした社会的・経済的価値は約1.37億円、という数字が出ています」(藤田)

メディアドゥのプレスリリースでは、全てのステークホルダーが投下したコストに対して、約4倍の社会的価値(直接の金銭的なやり取りでは算出されない、ポジティブな変化)が生み出されたことが説明されています。社会的価値の総額(約1.2億円)を調査の母数となる約8,300人で割った場合、単純計算で1人当たりおよそ1.4万円分となります。

B.LEAGUEクラブ初、「試合興行による地域への効果」を可視化 〜ホーム2戦で約1.37億円の“価値”を創出〜

メディアドゥは2025年11月15日・16日、人口約6,200人の徳島県那賀町のとくぎんトモニアリーナ那賀(那賀町総合体育館)で開催された徳島ガンバロウズのホームゲーム2試合について、地域社会にもたらした価値を定量化する調査を実施しました。


調査結果

・社会的価値: 約1億2,068万円
・経済波及効果:約1,680万円
⇒合計:約1億3,700万円


  • 観戦者の約95%がウェルビーイング(幸福感・楽しさ)を実感
  • 90%以上が地域への誇りやコミュニティのつながりを感じたと回答
  • SROI(社会的投資収益率)は4.08(100円の投資が408円分の社会的価値を創出)

調査はB.LEAGUEをサポートし、B.LEAGUE ALL-STAR GAMEでも同様の調査を行っているEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社に委託。過去のオールスターゲームと比較しても社会的価値の全項目で価値を感じた人の割合が高く、SROIも高水準となりました。


▼詳細はこちら
https://mediado.jp/group/14416/


クラブは「共創の土台」である

セッションが深まるにつれ、議論の焦点は「クラブをどう捉えるか」という本質的な問いへと移っていきました。藤田が提示したのは、クラブを「メディア」として捉える視点でした。

「クラブはチームであると同時に、ビジネスであり、メディアでもあります。徳島ガンバロウズという『メディア』をみなさまと育てていく。そうすることで、地域に住む方々がよりハッピーになるプラットフォームになっていくと考えています」(藤田)

青野氏もこの視点に賛同し、具体的な実感を語ります。

「地域のみなさまとつながれるというのは大きな価値です。住民の方がファンとして来てくださいますし、スポンサーを集めるために企業を訪問することもでき、自治体との関係も構築できます。そして『チームをみんなで盛り上げよう』と地域の人々同士の気持ちを束ねる力があり、地域の経済の循環まで高めていく核となるプラットフォームにできると感じています」(青野氏)

青野氏はさらに、クラブを活用して地域の魅力を資産として磨き上げ「IP化」していく構想を語りました。毎週県内外から多くの人が集まる試合会場という場を活かし、地元の特産品や文化を発信していく。教育との連携や地域活動など、さまざまな取り組みをクラブにかけ合わせていくことが可能だといいます。

この議論に島田チェアマンが応えます。

「クラブをIPやメディアとして捉える視点は非常に重要です。クラブが成長し、メディアバリューやIPバリューが高まるほど、経済的にも社会的にも地域へ還元できる力は大きくなります。クラブのためにやるというよりは、一緒に盛り上げることが結果的に地域に返ってくる。その『目線合わせ』が非常に重要だと常に思っています」(島田氏)

藤田も、この「目線合わせ」について、行政とクラブの関わり方をどのように考えるべきかという観点で述べました。

「B.LEAGUEは、地方創生リーグということを明確にうたっています。これはなかなかできないことだと思いますし、だからこそ、地域の行政の方々が参画しやすい。『(クラブに)あれもしてあげなければ、これもしてあげなければ』という目線で考えると参画しにくくなってしまいます。ガンバロウズを『うまく使おう』という発想で、それぞれの強みを生かして一緒に地域を盛り上げていければいいと考えています」(藤田)

行政がクラブを「支援してあげる対象」と捉えるのではなく、クラブというプラットフォームを「共に活用して」地域課題を解決していく。その発想の転換こそが、B.LEAGUEが目指す地方創生の本質とも言えるでしょう。


「スポーツによる地方創生×起業家」のビジョンが重なる先に

セッション終盤、話題は四国全体の連携へと広がりました。現在、四国にはB.LEAGUEクラブが3つ(徳島、愛媛、香川)あり、高知県にはまだクラブがありません。

今年1月24、25日、香川県で行われた「香川ファイブアローズ対徳島ガンバロウズ」の“四国ダービー”では、高松市総合体育館に駆け付けた香川ファンの黄色、徳島ファンの水色で会場が埋め尽くされ、全力で互いに譲らない試合に熾烈な応援合戦が繰り広げられました。選手、MC、ファン同士がこの“ダービー”を大盛り上がりで楽しみ、最後には互いを称える声を掛け合うような相乗効果が生まれました。

四国4県すべてにB.LEAGUEのクラブが誕生することで、この熱狂と連携の面積がさらに広がるはずです。「四国4チームでダービーができたらおもしろい」という青野氏の発言に、「B.LEAGUE理事として、空白県の解消に貢献していきたい」と藤田は応えました。クラブ同士が連携し、DXの共通化など効率的な運営を進めながら、それぞれのオリジナリティを追求していく。そんな未来像も語られました。

最後に藤田は、「B.革新」によるリーグ構造変更後の最上位リーグ・B.LEAGUE PREMIER参入基準を達成するうえで“地域の発展の起点”として求められる「アリーナ」に触れ、徳島における今後の展望を語りました。

「徳島にとって大きなテーマはアリーナがいつできるかということですが、私が目指しているのはアリーナ建設だけではありません。行政に加え、地域の団体、さらには学校、保育園、幼稚園まで……さまざまな方々が徳島ガンバロウズを活用して、徳島県のためになるアイデアを考え始めることで、みなさまが『ガンバロウズがあってよかった』と思える存在になっていくこと。そのような“コア”になっていくことが理想です」(藤田)

そして島田氏は、起業家がB.LEAGUEに参画する事例が増えていることを歓迎し、このように語りました。

「地方のクラブが元気になってくれなければ、B.LEAGUEの目指す感動立国は実現しない。そこにどんどん起業家が入ってきていただけている。B.LEAGUEが右肩上がりで成長している背景にあるのは、起業家のパワーだと思っています」(島田氏)

本セッションで繰り返し語られたのは、クラブを「支援する対象」ではなく「共に価値を創る土台」として捉える視点でした。島田チェアマンが強調した「目線合わせ」という言葉は、私たちが10年以上にわたり地域と向き合う中で大切にしてきた姿勢とも重なります。B.LEAGUEが掲げる「感動立国」と、メディアドゥが推進するSC事業。スポーツを通じて地域社会を活性化させるというビジョンは、確かに交わっていました。

メディアドゥは今後も、B.LEAGUE理事としての役割とクラブオーナーとしての実践の両面から、地域と共に価値を創造してまいります。

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