こんにちは!メディカム編集部 経営企画チームです。
2026年、メディアドゥは創業30周年という大きな節目を迎えます。
携帯電話販売代理店として創業し、着うた配信・音楽配信を経て、現在は電子書籍取次として出版社2,200社以上と電子書店150店以上をつなぐ存在へと成長。さらにこれまで培った信頼関係を生かしながら、日本のコンテンツを世界へ届ける「海外事業」や、地域社会の課題や可能性に向き合い、価値を最大化する「SC(Sustainability Creation)事業」に取り組んでいます。会社や事業規模が変化や拡大をしていく一方で、今もなお、社内には創業当時から変わらない、未踏の領域へチャレンジし続ける文化が根付いています。
なぜ30年という歳月を経ても、変化を恐れない組織でいられるのでしょうか。
今回お話を伺ったのは、総務部長の森公作さん。2005年の入社以来、20年間にわたってメディアドゥの数々の変革を内側から支え続けてきた存在です。着うたから電子書籍へ、名古屋から東京へ、ベンチャーから上場企業へ──激動の時代を共に歩んできた森さんが語る言葉には、私たちが想像していた以上に深い洞察がありました。
「成長と可能性」という社是がどのように日々の実践として根付いているのか。創業30周年を迎えるメディアドゥの、変わらない本質をお伝えします。
経理から始まった多彩なキャリア
──メディアドゥに入社したきっかけを教えてください。
森 偶然の出会いがきっかけです。前職では会計事務所で中小企業のコンサルティング業務に従事していたのですが、非常にハードワークで、対峙するお客様は経営者という環境で働いていました。非常に学び多い経験でしたが、同時にプレッシャーも高く、次はひとつの企業に腰を据えて、中からじっくりと向き合っていく働き方もおもしろいのではないかと考え、転職することにしました。
当時は名古屋に住んでおり、偶然、「名古屋のIT企業が経理募集」というメディアドゥの求人を見つけ、応募しました。すぐに大和田さん(現:常勤監査役)から連絡をいただき面接をして、その日のうちに「次は社長に会ってください」と藤田社長ともお話しをし、採用が決まりました。他の企業と比較することもなく、とんとん拍子で入社を決めました。
──当時のメディアドゥはどんな会社でしたか?
森 2005年当時は、ガラケー向けの着うたが主力事業でした。社員数は数十名程度で、本社は名古屋にありました。急成長中でしたが、正直なところ「ここに入ったら将来、安泰だ」とは、まったく思っていませんでした。
IPOを目指すための基盤を整えるポジションでの採用で、実は当時、IPOという言葉さえよくわかっていなかったのですが、「ぜひ、一緒にやりたいです」とお伝えした記憶があります。昔から新しいことにチャレンジするのは好きな性分なのです。
──入社後はどのような業務を担当されてきたのですか?
森 最初は経理から始めました。着うたのキャリア(通信事業者)への売上集計から始めて、会計帳簿の作成などを行いました。半年ほど経った頃からは、社長が東京と名古屋を行き来するようになり、社長が東京にいる間のフォローというかたちで、社長秘書的な業務も始めました。スケジュール管理から、社長から依頼された経営指標の数値集計まで、経営企画的な仕事も社長と直接やり取りするようになっていきました。
一番最初に社長と一緒に仕事をしたのは、第三者割当増資を受けるにあたって、投資家の方々に持っていくプレゼン資料を作成したことです。資料の質について非常に厳しくご指導いただいた記憶があります。社長は妥協を許さないので、何度も作り直しながらメッセージを磨きました。
──その後、事業が大きく転換していきます。
森 音楽配信事業から電子書籍事業への転換は大きな決断でした。2010年頃から電子書籍事業を本格的に始めて、2011年には音楽事業から事実上の撤退。「シェア1位を取れなければ意味がない」という判断でした。
その頃は、電子書店を立ち上げる企業に社長と一緒に営業に伺うこともありました。もちろん他にも営業として動いていたキーパーソンはいましたが、東京の出版社や書店を一緒に巡り、信頼関係を築いていく過程に立ち会えたのは貴重な経験でした。今では信じられませんが、この頃の著作権の集計や、請求発行などは私がやっていましたね(笑)。
「変わり続けること」が、変わらない文化
──20年間でメディアドゥにはどんな変化がありましたか? 変わったこと・変わらないことを教えてください。
森 多くのことが変わりましたが、変わらないのは「ベンチャー気質」だということではないでしょうか。「変わらないことをよしとしない」気質がずっとあります。
会社員として企業に勤めるのであれば、安定した穏やかな日常を過ごしたいという欲求もあると思うのですが、メディアドゥはそういう会社ではありません。変わり続けて、求められるものに対してアプローチし、回答を出していくことを繰り返している。それが創業からのメディアドゥの歴史だと思います。
現在のメディアドゥは電子書籍取次事業をメインに大きく成長することができました。今後も大切にしていくべき事業であることは間違いありませんが、「取次」そのものがメディアドゥ全体を言い表す本質かと言われたら、そうではないと考えています。この先、私たちが入り込んで付加価値をしっかりと生み出せるマーケットが存在するのであれば、その領域に踏み出すことも普通にあるだろうと思っています。
実際、創業から30年で見ても、携帯電話の販売代理店から始まって、ガラケー時代の「パケ割!」サービス、広告代理、着うた配信、音楽配信、そして現在の電子書籍取次と、時代に合わせてそれまでに積み上げてきた基盤をもとに、大胆に新しい展開をしてきました。
でも、それができるのは、メディアドゥの本質が「物売りではない」からだと思うのです。
──「物売りではない」とはどういう意味ですか?
森 メディアドゥは誰かと誰かの間に入り、ソリューションを提供する、解決策を提供する。物を製造して売るのではなく、私たちが存在することで価値を生み出す企業だと考えています。
人と人をつないだり、物と人をつないだりする。それは「メディアドゥ」という社名に象徴されていることだと思います。私たちの役割は、すべてのステークホルダーの課題を解決する「媒介者」としての価値創造。だから必要であれば、自在に事業を変えることもできると考えています。
※メディアドゥという社名には、「本来ならば出会うことのなかった価値同士を媒介し、世の中のさらなる進化発展に貢献し続ける媒体のような存在になりたい」との願いが込められています。
──藤田社長はどんな方ですか?
森 優しい方です。人の成長を本当に望んでくれる優しさがあるからこそ、厳しいのだと思います。
厳しさは関わる人に対して期待値を常に高く持っていることの裏返しなので、その期待を感じると、まだ自分自身に対しても期待値を持ち続けられるので、私のモチベーションのひとつになります。
厳しい状況から逃げたいと思ったことは何度もありますし、いまでも逃げたいと思うことはありますが、そうした葛藤の中で、自分が任された仕事をどうすれば成し遂げていけるかという挑戦を繰り返してきました。
思いきりチャレンジができたのは、どんな時でも社長が覚悟を示してくれていたからだと思います。ずっと先頭を走り続けながら背中を見せてくれているので、これだけ「変わろう、変わろう」とトップが動いているのだから、ついていかなければ、という思いはあります。
経営と現場をつなぐ「公作さん」
──2013年の上場は大きな節目だったと思いますが、どのような経験でしたか?
森 入社時からIPOが目標だったので、8年かけて達成できたのは感慨深かったです。ゼロから内部統制の構築、管理会計の整備、規程類の策定など、それがそのまま会社のガバナンスとして積み上がっていきました。そう意味では、会社の土台作りに関われてきたんだと自覚していますね。
──2016年のオフィス移転も、大きなプロジェクトでしたよね。
森 オフィス移転は、ただ場所を変えることではありません。企業文化を空間に落とし込み、社員が働きやすい環境を創造する。そして上場企業としてふさわしい機能性と品格を両立させることだと思っています。
経理から始まった私が、こうした大規模プロジェクトを任されるようになったのも、メディアドゥという会社の懐の深さだと感じています。
上場後も、複数のM&Aによる事業拡大など、会社では常に新しいチャレンジがありました。異なる文化の会社が一緒になるときは、制度の統合だけではなく、オフィスや企業文化の融合など、「人と人をつなぐ」ことも大切だと感じました。
そういえば、プロバスケットボールチーム「徳島ガンバロウズ」の立ち上げに私自身は携わってはいないのですが、とても印象的な出来事でした。スポーツには人を魅了する力があり、会社がプロチームを持つということは私のなかで大きな喜びで、関わりたかったという思いはあります。
──本当に新しいチャレンジがお好きなのですね。総務部長として大切にしていることはありますか?
森 私は社員から、部長とは呼ばれていません。みんな「公作さん」と声をかけてくれます。部長というのは役割として与えられた単なる役職名で、今も現場で仕事をするのが私の中では当たり前のことです。
たとえば、机の配置を変えたいとか、電源を増やしたいなどといった要望があれば、実際に床を開けて作業することもあります。「セミナールームのマイクの音が不調かも?」となったら、まず私に声がかかります。
はたから見たら「部長がやる仕事ではない」と言う方もいるかもしれませんが、肩書にとらわれず、困っている人がいたら助けるのが総務の仕事です。
──社内では「公作さんに聞けば何でもわかる」と言われています。
森 20年間で本当にさまざまなことを経験させていただきました。経理、社長秘書、経営企画、人事、総務と、バックオフィスのほぼすべてを経験しています。
「ご用聞き」は、この会社の中で一番やってきていることだと思います。みんなの困りごとを聞いて、解決策を見つける。それは私の役割だと思っていますし、頼ってもらえるのはありがたいことです。
──経営と現場をつなぐ役割についてどう考えていますか?
森 会社の規模が大きくなっていっても、社長が今なにを考えているのか、長年務めてきた経験を生かしてしっかりキャッチアップすると同時に、現場の声もしっかりつかみ、それを経営に届けたい。その橋渡し役が私の仕事の一つだと思っています。
「成長と可能性」を体現し続けて20年
──勤続20年経ちましたが、振り返ってみていかがですか?
森 一言でいうと、おもしろかったです。本来私は結構飽き性なのですが、常に新しい景色を見せてもらってきました。
あわせて、この会社は社是で「成長と可能性」を掲げており、人の成長を喜んでくれる会社です。望めば多くのチャレンジができて、ここで自分が成長できる実感を得られ続けてきました。
──次の20年、何をしていきたいですか?
森 メディアドゥを、もっとおもしろくしたいです。たとえば、若い社員でもチャレンジできるような仕組みや場を整える仕事がしたいですね。
私がこれまで多くの挑戦をさせていただいてきた分、みんなも臆さずにもう一歩踏み出してみると、絶対におもしろいと思うのです。でも、なかなか踏み出すのは大変だと思うので、その第一歩を助けてあげられる仕組みや場を考案できたらと考えています。
転職して外にチャレンジの場所を求めることも手段のひとつですが、メディアドゥの中でそれをサポートしてあげたいと思っています。頭の中で「やりたいこと」を考えている人は多くいると思うので、もっと活発的にアウトプットできる仕組みを作りたいですね。
──森さんも、人の「成長と可能性」をとても信じているのですね。
森 はい。もしやりたいことがあるのでしたら、今いる場所でやってみてほしいですし、新しい自分の役割を見出したいと考えて異動したいのであれば手を挙げてくれればいい。
自己の成長をどう望むかをオープンにして、それを共通認識として活性化させていくことが、企業カルチャーの創造につながると考えているので、メディアドゥの中に、そうした文化をより根付かせる取り組みができたらいいなと思っています。
「そんなことを言うから、現場から多くの要望が上がって大変だ」と言われるくらい、チャレンジをどんどん推奨していきたいですね。
おわりに
「せっかくのご縁、一番最初に手を挙げてくださった会社だから」──森さんは、さまざまな変化とともにメディアドゥの最前線を、20年間走り続けてきました。
それを支えたのは、藤田社長をはじめとする多くの方々との出会い、変化を楽しめる環境、そして「成長と可能性」を大切にする企業文化です。森さんが体感した「変化を恐れず、人を大切にする」姿勢は、創業30年を経た今もメディアドゥの中で受け継がれています。
人が成長し続ける限り、メディアドゥも成長し続けます。私たちはどのような時代になっても変化に適応し、社会に貢献し続ける会社でありたいと考えています。