こんにちは!メディカム編集部 経営企画チームです。
私たちメディアドゥは電子書籍流通事業で国内最大手の東証プライム上場企業ですが、実は起業家支援、プロスポーツなど、地域を舞台としたさまざまな事業にも取り組んでいます。
メディアドゥグループがプロスポーツ事業で手掛けるのは、徳島県初、徳島県唯一の男子プロバスケットボールクラブ「徳島ガンバロウズ」※1。1年足らずでB3リーグ参入を果たし、ゼロから選手集めや試合運営などを行ってきました。
電子書籍を取り扱うIT企業である私たちが、一体なぜプロスポーツに取り組んでいるのでしょうか。
メディアドゥは出版業界で電子書籍流通のインフラを担うBtoBが主軸で、世の中にどのように貢献しているかを目に見える形で知っていただく機会はほとんどありません。そこでプロスポーツに参入し、プロスポーツ市場や地域経済の成長を後押しすることができれば、メディアドゥへの期待や信頼に繋がり、社会に貢献する企業としての価値を高められる。そして、そのような信頼されるプロスポーツのオーナー企業であることが、将来の採用力強化にもつながり、将来も存続する企業へ成長することができると判断したのです。
日本のプロスポーツは欧米と比較するとまだ小さな規模ですが、欧米での急成長を受けた取り組みが各所で進んでいます。メディアドゥは国内のプロスポーツ市場にも大きなポテンシャルがあり、一層評価されていくべきだと考え、持続的に成長するプロスポーツ事業の経営に上場企業として挑戦しています。
サッカーでは、日本のJリーグ全クラブの売上高が2023年度に1,517億円と過去最高になった一方、イギリスのプレミアリーグは当時のJリーグと同水準の規模だった1990年代半ば※2から、2022-23シーズンにJリーグの7倍となる約1兆1250億円規模まで成長。バスケットボールも北米NBAは2022-23シーズンの全クラブ収益が合計約1兆5,000億円で、Bリーグ(B1・B2)の全クラブ営業収入の約36倍となっています。※3
欧米は放映権料の高騰などで市場拡大が著しいプロスポーツへの投資も活発化しており、資本市場が入り込むことで更なる市場成長につながるでしょう。アメリカではPE(未公開株)投資ファンドの出資を解禁する動きが2019年以降、プロ野球やバスケなどで相次いで広がりました。※4
日本国内でも、2022年にはJリーグが「リーグ全体の成長を推進する」としてクラブの上場を解禁※5するなど、欧米の状況に追い付こうとする動きが徐々に生まれています。
※1 メディアドゥは2022年4月、徳島県内外の企業との23社共同出資により、筆頭株主として徳島ガンバロウズの運営法人(株)がんばろう徳島を設立した
※2 出所:日本政策投資銀行「スポーツの価値算定モデル調査」より
※3 出所:Jリーグは「2023年度クラブ経営情報開示資料」、プレミアリーグはDeloitte「Annual Review of Football Finance 2024」、NBAはForbes「NBA Valuations」、Bリーグは「クラブ決算概要 発表資料(2022-23シーズン)」より
※4 出典:日本経済新聞「投資ファンド招く米スポーツ界 放映権巡る熱戦が磁力」(2024年7月8日 電子版) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02DWL0S4A700C2000000/
※5 出典:Jリーグクラブ経営本部「Jリーグクラブの株式上場について」
現在は国内のプロスポーツが欧米のような急成長を遂げる前夜の状況と言えます。今回は、メディアドゥグループにおけるプロスポーツ事業である徳島ガンバロウズの運営法人(株)がんばろう徳島で2024年1月から代表取締役を務めている、メディアドゥ出身の臼木郁登さんに話を聞きました。
臼木さんは新卒でメディアドゥに入社し、社長室在籍時には創業社長の藤田のもとで起業家支援事業「徳島イノベーションベース」の発足に尽力するなど、メディアドゥの経営陣に近い立場で長く活躍してきました。そんな臼木さんが徳島ガンバロウズに携わることになった経緯、立ち上げから現在、そして今後も大切にする信念に迫ります。
臼木 郁登さん Ikuto Usuki
1992年3月生まれ 徳島県出身
2014年 メディアドゥに新卒入社。電子書籍の取次業務等に従事
2017年 経営企画室に異動。グループ会社管理などに従事
2019年 社長室に異動。(株)メディアドゥテック徳島や(一社)徳島イノベーションベースの発足などを担当
2022年 統括マネージャーとして徳島ガンバロウズの立ち上げに参画
2024年1月 (株)がんばろう徳島 代表取締役社長就任
誰もが親しめるチームを作った初年度
――徳島ガンバロウズは昨年度、B3リーグに初参入しましたね。昨シーズンの成績や現在の状況を教えてください。
B3リーグ 2023-24シーズン(2023年10月~2024年5月)では初参入でプレーオフに進出し、18クラブ中最終4位でした。B2リーグ昇格まであと一歩のところ※です。選手の平均年齢は25.5歳(2023年10月当時)とリーグ内でも非常に若いチームの一つで、シーズン前にはここまでの好成績を残すとは評価されていなかったと思いますが、本当によく頑張ったと思います。
※B3リーグからB2リーグへの昇格は、B3リーグ年間最終順位で上位2クラブに入るなどの条件がある
昨年度はホーム戦全試合で合計33,700人超、平均で1,276人が来場しています。皆さんが盛り上がり、感動してくださる姿を見て「プロバスケがなかった徳島でもやれるんだ」と自信になりました。シーズン前半は少し客足が鈍りましたが、11月の2節目ごろからまた1日1,000人を超え始めました。立ち見が出る日もあって、少しずつ人気が高まっていく新規チームならではの勢いを感じました。
今は2024-25シーズンの開幕に向けて準備を進めています。前シーズンの所属選手18人中9人が残り、コーチ陣も継続してくれました。新たな4選手を加えた選手計13人とスタッフで、今シーズンこそ優勝とB2昇格を果たすために、練習や興行の準備などに励んでいるところです。
――そもそも、なぜ電子書籍などのコンテンツを扱うメディアドゥグループがプロスポーツに参入することになったのでしょうか。
誰もが幼い頃から経験するのが「勉強」や「スポーツ」です。つまり全員が知っていて、親しみがあるもの。そして、スポーツのプロシーンは多くの人が熱中し、応援したいと思えるエンターテイメントでもあります。その影響力の大きさに加え、バスケットボールは他と比べてもコートと観客との距離が近く臨場感があり、次々と得点が重なって盛り上がりやすいという特性があります。
メディアドゥが普段から直に取引をさせていただいているのは、出版社や電子書店など企業の方々です。コンテンツの流通を担うという大きな責任を持つ一方で、メディアドゥには広く多くの方々の目に触れるようなサービスやキャラクターなど、会社としてのアイコンがありませんでした。そこでプロスポーツ、中でも成長が著しいバスケットボールに参入し、その取り組みの中で会社としての「象徴」を得ることができれば、「メディアドゥってこんなところがいい会社だよね」と広く評価され、持続的に愛される会社になることにも繋がる。そういった考えがメディアドゥにありました。
――「ガンバロウズ」という名前も発表した当時に話題になり、今では徳島を中心にたくさんの方々に親しんでいただけていますね。
はい。発表当時は「ダサい」という声がSNSでたくさん投稿されていましたね(笑)。この名前はもともと代表の藤田が決めた名前で、スポーツという万人が興味を持てるようなエンターテイメントに、さらに老若男女が親しめる仕掛けを組み込むことが目的でした。
一目で分かりやすい名前ですし、「頑張ろう」や「頑張れ」は誰もが応援の気持ちを伝える時に使う言葉です。子供からおじいさんおばあさんまで、誰もが親しみを持って受け入れ、愛してくれるようなチームを目指す考えがありました。
『チェック&バロウ(CHECK&BAROU)』
統括マネージャーを任された、異常なプレッシャー
――臼木さんは2022年の春から徳島ガンバロウズの立ち上げに携わり、今年1月には運営会社の社長に就任しました。どういった経緯で徳島ガンバロウズに携わることになったのでしょうか?
「メディアドゥグループとしてプロスポーツ事業をやる」と決めた時に、会社から統括マネージャーとして僕に白羽の矢が立ちました。子会社のメディアドゥテック徳島(2017年設立)や起業家支援事業の「徳島イノベーションベース(TIB)」(2020年発足)ではメディアドゥの窓口として地元の方々とのやり取りを担っていたので、徳島での人間関係がもともとあったことが大きいと思います。
――いきなり新規事業の「統括マネージャー」をゼロから任されることになりましたが、抵抗はありませんでしたか?
もちろん迷いました。事業を任せられることのプレッシャーもありましたし、当時はバスケを全く知らなかったことが大きいです。それでもプロスポーツの影響力の大きさはなんとなくわかりました。そんな中でプロスポーツという重要案件、しかもメディアドゥが初めて参入する事業を任されるのはハードだなぁ、とビビっていました。
僕は徳島出身で、メディアドゥ代表の藤田とも親戚関係にありますが、入社してから一度も優遇やひいきをされたことはありませんし、逆に一番遠慮なく叱咤されながら社会人として育ててもらいました。だからこそ、この事業に込める「メディアドゥが将来にわたって愛されるために」という願いの大きさが理解できましたし、その統括として事業を全て任されるというのは異常なプレッシャーでした。
――そうすると、かなり長い時間迷っていたのでしょうか?
いえ、打診された翌日の夜には「やります」って言いました(笑)。
当時は自分のやりたいことが何なのか見つけられずにいた時期で。そのままタラタラと生きていくよりも、こういうチャレンジをさせてもらうべきだと思ったんです。メディアドゥや徳島のためにも頑張りたいと思いましたし、「死にはしない。なんとかなるや」と覚悟を決めて引き受けました。
一貫する信念は「愛されること」と独自性の追求
――大きなプレッシャーを感じながら実際に携わり始め、事業を統括していくうえで重視してきたことは何ですか?
何よりもゆずってはいけないと考えたのは、当初からメディアドゥが目指していたことですが、徳島ガンバロウズが多くの人に親しまれ、地域を盛り上げて、「愛されるチーム」として続いていくことです。これはメディアドゥがバスケへの参入を選んだ理由や、チーム名を決めた時点から一貫しています。
バスケのことがわからないからこそ、僕がチーム作りで最初に求めたのは「人格者」です。徳島はどこかに行けばすぐに知り合いと偶然会うような地域で、声を掛けられることも多いはず。誠実さや素直さがある人格者なら、どこで見かけられても「感じの良い人だったな」とか「ファンサービス良かったな」とか、そう思っていただけると考えました。
選手だけでなくスタッフも、それをしっかり意識して行動できることが大切だと思っています。
――選手だけでなく、スタッフも。会社全体としての姿勢なのですね。
「徳島のために本気で動けているのか」という点も大事です。運営会社「がんばろう徳島」の経営骨子では、第一に「地域経済の貢献」を掲げていますが、これが一番簡単なことではなくて。
例えば依頼できることは地元の企業様に依頼する、というのを結構徹底しています。もちろん費用対効果を見極めながらですが、そういう部分から徹底しなければ、本気で地域経済に貢献する姿勢が伝わらないと思っています。
資金面ではパートナー集めも重要でした。お金を出して終わりなどではなく、いつも僕たちの思いに共感していただくことを目指してご説明しています。
――「愛されるチーム」になることで、ガンバロウズやメディアドゥにどんな影響があるのでしょうか?
良い結果さえ出せればいいという話ではなく、姿勢や本気度を通じて、愛していただける存在になれなければ、応援や協力関係は続かないものだと考えています。
メディアドゥグループは創業社長の出身地である徳島の皆様からの信頼、地域との協力関係があるからこそ、出版業界などの多くの方々にもその姿勢に信頼をいただき、大きく成長を遂げられた経緯があります。ガンバロウズにおいても一貫して大切にしなければならない姿勢です。
そんなチームを作る動きを後押しする転機になったのは、メディアドゥと長くお付き合いがある地元の方とお話しした際に「メディアドゥだったら面白いことするでしょ」と期待の言葉をいただいたことでした。
「メディアドゥならできる面白いこと」とは何だろうか。僕としては、この言葉がグサッと刺さりました。当初は他と同じように、日本人のバスケ経験者がヘッドコーチ(HC)とゼネラルマネージャー(GM)を兼任するような形を検討していました。しかし僕たちはB3リーグに参入する最後発のチーム※の一つ。「他と同じようなチーム作りをしていても盛り上がる気がせんな」と思い始めました。
※B3リーグは2021年4月、リーグへの新規入会受付を2022年7月1日申請を最終として一時停止すること、リーグ所属クラブ数の上限を原則18クラブとすることを決議した
https://www.b3league.jp/archives/12435
そこで探し方を変え、人づての紹介でザック生馬さん(現・徳島ガンバロウズGM)と出会いました。ザックさんはGMだけでなくバスケ未経験ですが、英語が堪能なスポーツキャスター出身。2019年からはNBAワシントンウィザーズ公式特派員として八村塁選手にも密着しており、米国のバスケシーンに造詣が深い。話し合う中でメディアドゥやガンバロウズが目指す「愛されるチーム」の像と、「勝つために互いにポジティブな文化を作れる、魅力的なチーム」を目指したいというザックさんの考えが合致し、一緒に外国籍のヘッドコーチ探しから取り掛かってもらいました。
そうして結果として、上昇志向が強く、人格にも優れた魅力ある選手・スタッフが揃いました。「愛されること」そして「メディアドゥだからできる独自性」という目線は、今でも変わらずに大事にしています。
「前向きで先進的な考え方がマッチした。そういう企業がオーナー会社なのは頼もしいです」と語っている
ガンバロウズへの共感が、グループの未来に
――そこから昨シーズンのチームが作られていき、最終4位に入るまでのストーリーが始まったのですね。最後にこの新規事業を形にしていく中で、大切だと考えるポイントは何でしょうか。
何もかも、人に信頼され、頼り合える関係を構築していくということです。一人の頭脳ではひらめくことも限られます。パートナー探しも、人づてで紹介に紹介を重ねていただき、お膳立てまでしていただいて、やっと色々な方々とお話しすることができたと思います。
これはいわゆる巻き込み能力みたいなもので、メディアドゥで色々な事業に携わって経験をさせてもらう中で学んできたことです。関係する色々な方々と熱量高く接し、共感や協力をしていただくことができれば、事業の推進力は一気に高まっていきます。恐らく、実直な姿勢だったり、やり切ろうとする本気度が周囲にどれだけ伝わっているかが、新しい挑戦に打って出る時の成否を大きく分けるのではないでしょうか。
――改めて、メディアドゥグループとして徳島ガンバロウズに取り組む意義とは何だとお考えですか?
ガンバロウズが多くの人に愛され、求心力を持ってさらに成長していけば、メディアドゥが愛されつづけるということにもつながっていくと考えています。参入した目的、チーム名、チーム作り、そして日常や日々の試合など、全てにおいて大切にしているのが信頼であり、愛されることです。
ガンバロウズが多くの方々とつながる「顔」となることで、メディアドゥが何を大切にして、どんな姿勢を持って事業に取り組んでいるのかが伝わると信じています。
――ありがとうございました。
メディアドゥグループでおよそ10年活躍し、電子書籍流通事業や起業家支援事業など様々な事業に携わってきた臼木さん。「メディアドゥで学んできたこと」としてインタビューで一貫して語ったのは、本気でやり切ろうとする姿勢や周囲からの信頼の大切さです。
「勝てるチーム」を目指すこと、つまり事業をうまく回すことが大前提である一方で、メディアドゥならではの姿勢や取り組みを通じて「愛される」ことが多くの方々からの信頼につながり、徳島からプロスポーツの急成長を後押しするムーブメント、そしてメディアドゥの未来の成長も形作っていくという信念がうかがえました。
経営企画チームは株主の皆様と対話する中で「メディアドゥがなぜプロスポーツ事業を行うのか」という疑問の声をお聞きする機会がありますが、上場企業であるメディアドゥのグループ会社のプロスポーツ事業を地域社会に貢献する持続可能な事業へと成長させていくことが、メディアドゥの将来の企業価値向上につながると信じています。メディアドゥはこうした覚悟を持ち、最短での黒字化達成を目指して長期的にこの事業に取り組んでいく方針です。
最後に、徳島ガンバロウズは9月28日(土)、「とくぎんトモニアリーナ」(徳島県徳島市)でB3リーグ 2024-25シーズンの開幕戦を迎えます。第1節(メディアドゥPRESENTS)の対戦相手はアースフレンズ東京Z。今後を占う初戦にご期待ください!
試合日の概要はこちらをご覧ください。
https://gambarous.jp/news/detail/id=48039