リスクマネジメントSUSTAINABILITY FOR THE MEDIA DO GROUP

基本的な考え方

当社グループでは、リスク発生の抑制及び会社損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理規程」を制定しています。それに基づき、持続的成長や事業活動の遂行に影響を与える可能性のあるリスクの抽出、評価及び対策について、サステナビリティ推進委員会(原則、四半期ごとに1回開催)が主体となって全社リスクに関する検討並びに評価(アセスメント)を行うとともに、各リスクに対するリスクオーナーを指名、明確化することで対応の実効性の担保に努めています。またリスクアセスメント結果については、取締役会に報告することとし、取締役会は、経営目線でのリスク間の相対的な関連性を検討・考慮したうえで、対処すべきリスクの優先順位を決定し、対策実施の指示をすることとしています。

なお、リスクの抽出においては、リスクを戦略遂行リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれは以下のとおり定義しています。

戦略遂行リスク 経営方針の策定及び事業戦略の遂行にあたり、企図する成果や効果が予定通り獲得できない可能性の程度及びその発生可能性であり、持続的成長を実現するにあたり、影響の範囲・程度を認識しつつ、対応策も含め検討するリスク
オペレーショナルリスク 戦略遂行を支えるオペレーション上の事象・障害の発生可能性及び損失可能性であり、事業遂行上、一定以下に抑制すべきリスク

これらに基づき、重要と判断したリスクについては、当社グループの各事業、コーポレート部門、マネジメント等の各レイヤーが当該リスクの内容に応じた対応・対策を検討・協議し、サステナビリティ推進委員会がその進捗をモニタリングのうえ、継続的な改善を図るよう努めています。監査役は取締役会への参加、重要書類の閲覧・確認、会計監査人との連携等を通じて、対処すべき優先順位の高いリスクについて有効な対策が実施されているかをモニターしています。加えて、コンプライアンスに関連する方針や規程を制定し、当社グループの役職員が遵守すべき法令、ルールを定め、内部監査等により遵守状況の確認を行っています。

リスクマネジメントサイクル

リスク評価マップ

主な事業等のリスクと影響の範囲

認識するリスク 影響の範囲 影響度 リスクの概要
戦略遂行リスク 電子書籍業界の成長性
  • 経営方針及び成長戦略に影響を及ぼす可能性
  • 業績に影響を及ぼす可能性
大きな業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性 引き続き電子書籍市場の拡大に注力するとともに、さらなる流通カロリー抑制と機能追加により、業界のインフラとしての役割の強化に向けて、コンテンツラインナップの充実や当社グループが提供する配信システムの強化、ユーザーニーズに適合したサービス・ソリューションの開発・提供や先進技術への対応等により、出版市場全体とユーザーのすそ野拡大への寄与だけでなく、競合他社との差別化を図っていきます。
外的要因(自然災害等)による事業への影響
  • 成長戦略・事業活動に影響を及ぼす可能性
  • 需要及び供給に影響を及ぼす可能性
  • 収益確保に影響を及ぼす可能性
中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性 当社グループは、出版コンテンツにおける社会インフラの役割を担う立場として、著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できる仕組みの持続可能な提供を目指しており、システムや業務の冗長化に向けた対策の実施及び対策組織の体制構築に取り組んでいます。また、経営危機管理マニュアル等、有事対応のマニュアル化やBCP策定について継続的に協議・検討を進めるなど、不慮・不測の事態に備えた取り組みを進めています。
海賊版サイト等の影響
  • 成長戦略・事業活動に影響を及ぼす可能性
  • 需要及び供給に影響を及ぼす可能性
  • 収益確保に影響を及ぼす可能性
中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性 足もとでは、海外に拠点を置く中小規模のサイトの存在を複数確認しています。閉鎖に至ったものもある一方でアクセス数は増減を繰り返しながらも完全に撲滅するには至っておらず、引き続き出版業界や政府とも連携しながら、運営者の特定やサイトの閉鎖といった対応を進めていきます。
特定取引先からの仕入依存
  • 事業活動に影響を及ぼす可能性
  • 業績・財政状態に影響を及ぼす可能性
中~大程度(数億円~10億円規模)の業績影響が生じる可能性 取引先との条件交渉は頻度は高くないものの、双方において定期的な見直しを実施しています。引き続き、電子書籍市場拡大に向けた協力体制を維持する一方、電子書籍取次ビジネスに加えて、第二の収益軸の構築に取り組んでいきます。
システム・情報セキュリティリスク
  • 業績・財政状態に影響を及ぼす可能性
  • ブランド価値を毀損する可能性
中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性 当社では、2022年12月に情報セキュリティ統括室を新たに設置し、2023年3月からは同組織の機能・人員強化と併せて組織改編を実施してIT統括本部を設置しました。IT統括本部は、情報セキュリティ規程の整備と施行、情報セキュリティリスクアセスメントの実施、EDR(Endpoint Detection and Response)やCASB(Cloud Access Security Broker)の導入等を遂行する組織として設置しました。引き続き、営業活動やシステム開発、バックオフィス業務などを含む全社横断の情報セキュリティ対策に継続して取り組んでいきます。
投資や減損に関するリスク
  • 財政状態に影響を及ぼす可能性
  • 事業、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性
中~大程度(数億円~10億円規模)の業績影響が生じる可能性 当社グループは、資本コストや資本収益性を常に意識しながら規律ある投資行動と効率的な事業運営に努めることで、創出する事業価値の最大化に取り組んでいます。また、これら投資の実行と併せて、経営・事業の多角化を図りながら最適な事業ポートフォリオの構築に向けた事業や投資先の評価基準の精緻化や分析、モニタリング体制等のプロセス全体の改善に取り組んでいきます。
  • 成長戦略・事業活動に影響を及ぼす可能性
  • 業績・財政状態に影響を及ぼす可能性
中程度(数億円規模)の業績影響が生じる可能性 事業推進やシステム開発等において、現時点で大幅な人員不足やプロジェクトの遅延等の影響は出ていませんが、一層の事業成長を図る中、エンジニアを中心に人材獲得需要は既に高まっています。2022年9月にはオフィスの一部をフルリニューアルするなど、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。引き続き、身体的、精神的、社会的に満たされる職場環境を整備することによって人材の獲得・定着を図っていきます。
  • 業績・財政状況に影響を及ぼす可能性
  • ブランド価値を毀損する可能性
中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性 現時点でコーポレート・ガバナンス上の問題は生じていませんが、将来の事態発生を抑止すべく、内部管理、内部統制体制の充実を図る必要があるものと認識して、サステナビリティ推進委員会における全社リスクマネジメント活動と併せて実効性の強化に努めていきます。
  • 成長戦略・事業活動に影響を及ぼす可能性
  • 業績・財政状態に影響を及ぼす可能性
  • ブランド価値を毀損する可能性
中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性 特定人物への依存によって現在生じている影響はありませんが、取締役会及びその諮問機関である指名報酬諮問委員会において、後継者計画の検討と策定に向けた協議を進めることで、持続可能な企業運営及びボードガバナンスの確立に取り組んでいきます。