ニュースリリースnews release
メディアドゥ、視覚障害者向け電子図書館システム 「アクセシブルライブラリー」を開発/実用化目指し実証実験を完了
株式会社メディアドゥ(東証第一部 3678、本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO 藤田恭嗣、以下「メディアドゥ」)は、独自の電子書籍ファイル自動読み上げ技術を活用した視覚障害者向け電子図書館システム「アクセシブルライブラリー」を開発し、実証実験を行いましたので、お知らせいたします。今回の開発・実証実験は、経済産業省の令和3年度「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(J-LOD)」の「コンテンツのサプライチェーンの生産性向上に資するシステム開発・実証を行う事業」へ採択を受けて実施いたしました。
メディアドゥは2021年8月から「アクセシブルライブラリー」のシステム開発に取り組み、2022年1月から2月まで実証実験を実施しました。実証実験には視覚障害者 40名以上のほか、株式会社日本文芸社が参画し、コンテンツ配信・自動読み上げ機能などのシステム動作、サービスサイトの利便性などの検証を行いました。
その結果、既存の電子書籍データを利活用したこと、コンテンツのサプライチェーンを視覚障害者にまで拡げたこと、操作性や音声の種類・速度変更機能などに対して高い評価をいただきました。
【実証実験参加者のコメント(抜粋)】
- 読書体験は誰にとっても大切なものだと思いますが、晴眼者に比べて情報量が限られている視覚障害者にはより重要なことだと考えます。専用デバイスがなくてもインターネット環境があれば使用できるこのようなサービスは、例えば中途失明をした方などの世界を広げるきっかけにもなるかもしれません。
- 操作性が簡単で使いやすく、音声の種類や倍速が変えられるので快適に聞くことができて良いと思います。図書館に行かなくても本が読めるようになるとするなら嬉しいです。
- マナーや料理の本は実践しながらスマホで聞けるのが嬉しいです。また、点字ディスプレイよりコンパクトに本を持ち歩けます。
「アクセシブルライブラリー」開発の背景
2019年6月28日、読書バリアフリー法が施行されました。この第3条では、視覚障害者などが利用しやすいアクセシブルな書籍/電子書籍の量的拡充・質の向上が、図書館サービスを提供する自治体などに求められています。これを受け、メディアドゥでは自治体などの読書バリアフリーへの取り組みを支援するツールとして、視覚障害者向け電子図書館システム「アクセシブルライブラリー」の開発に着手しました。本システムは、これまで出版流通サプライチェーンと無縁であった視覚障害を持つ方々に、質量ともに充実した読書機会を提供したいとの願いから生まれました。

「アクセシブルライブラリー」の概要
「アクセシブルライブラリー」は、現在でも数多く存在する音声の自動読み上げが可能な電子書籍データ(EPUBリフロー形式)を活用し、視覚障害者が全国の公共図書館で手軽に利用できるシステムとして、多くの視覚障害者が参画して開発されました。本システムの主な特徴は下記の2点です。
- 視覚障害者のニーズに基づく、高速でも聞き取りやすい音声自動読み上げエンジンの採用
- 介助がなくても単独で利用可能な視覚障害者に特化したUI
これによって、国内に約30万人※と推計される視覚障害者に対し、過去の作品、そしてこれから生み出される出版物を、継続的かつ効率的に提供することができます。
今後は実証実験参加者の声などをもとに機能改善を進め、著作権者、出版者、全国の図書館のご理解を得ながら、本格的なサービスとしての提供可能性を検討してまいります。
※ 厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
「障害者」表記について
本プレスリリースの表記は「障害者」に統一しております。「障がい者」表記の場合、視覚障害のある方が利用するスクリーン・リーダー(画面読み上げソフト)などで「さわりがいしゃ」と読み上げられてしまう場合があるためです。
本リリースに関する問い合わせ先
株式会社メディアドゥ 広報担当:戸張(とばり)/大坂(おおさか)
東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル 5F
E-mail:contact@mediado.jp